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大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて(周知)
The document primarily frames generative AI governance in higher education around enabling appropriate use and building AI literacy, while managing risks such as academic integrity, misinformation, and data privacy. The dominant tone is guidance on how to utilize AI effectively rather than restrict it, with safety concerns treated as secondary considerations.
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事務連絡 令和5年7 月 13 日 各国公立大学法人担当課 大学を設置する各地方公共団体担当課 各文部科学大臣所轄学校法人担当課 御中 大学を設置する各学校設置会社担当課 独立行政法人国立高等専門学校機構担当課 文部科学省 高等教育局 専門教育課 大学教育・入試課 大学・高専における生成AI の教学面の取扱いについて(周知) 昨今、ChatGPT 等に代表される高度な生成 AI の利用者が急増しており、大学・高等専門 学校(以下「大学・高専」という。 )についても、教育活動における活用可能性やリスクな ど正負両面の影響も指摘されているところです。これに対し、多くの大学・高専では、既に 生成 AI の教学面の取扱いに関する指針や考え方等(以下「指針等」という。 )の策定も進め られています。 大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについては、それぞれの教育の実態等に応 じ、今後の状況変化を踏まえて指針等の内容を見直すことも含め、主体的に対応いただくこ とが重要と考えています。文部科学省においては、大学・高専の対応の参考となるよう、既 に各大学において策定されている指針等の内容や有識者の見解等を踏まえ、生成 AI に関し て利活用が想定される場面例や留意すべき観点等について、別紙のとおりまとめました。各 大学・高専におかれては、本資料も参考に、引き続き生成 AI の取扱いに関して適切な対応 を図っていただきますようお願いします。 本件について、国公立大学法人におかれてはその設置する大学等に対して、独立行政法人 国立高等専門学校機構におかれてはその設置する高等専門学校に対して、大学又は高等専門 学校を設置する地方公共団体及び文部科学大臣所轄学校法人におかれてはその設置する大 学等に対して、大学を設置する学校設置会社におかれてはその設置する大学に対して、それ ぞれ周知されるようお願いします。 <本件連絡先> (全体について) 文部科学省高等教育局専門教育課 連絡先:03-5253-4111(内線:2501) (大学における教育一般について) 文部科学省高等教育局大学教育・入試課 連絡先:03-5253-4111(内線:2493) 1 大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについて 基本的な考え方 (生成 AI に関する動向) 令和4年 11 月に OpenAI 社が公開した ChatGPT は、公開から2か月で月間ユーザーが 1億人を突破し、また、文章のみならず画像や音声等の生成を行う AI も普及するなど、 生成 AI の開発や利活用が急速に進展している。 政府においては、これまで「人間中心の AI 社会原則」 (平成31 年3月 29 日統合イノ ベーション戦略推進会議決定)等により、AI に対する基本戦略・基本理念を明らかにし てきているほか、生成 AI の登場によって整理すべき当面の論点等について、本年5月 26 日に AI 戦略会議において「AI に関する暫定的な論点整理」 (以下「論点整理」という。 ) を取りまとめている。生成 AI を含む AI の利活用は、利便性や生産性の向上、さらには 人間の様々な能力をさらに発揮することを可能とするなど、経済社会を前向きに変える ポテンシャルがある。一方で、AI の信頼性や誤用・悪用などの懸念やリスクも指摘され ており、論点整理では、しっかりと懸念やリスクへの対応とバランスを取りながら進め ていく必要があるとされている。 (趣旨/大学・高専における対応) 教育分野においては、生成 AI を適切に利活用することで、学修効果が上がり、また教 職員の業務効率化を図ることができるなどの効果が期待される反面、レポート等の作成 に生成 AI のみが使われること等に対する懸念が指摘されている。こうした背景も踏ま え、多くの大学・高専では、既に生成 AI の教学面の取扱いに関する指針等の策定が進め られている状況にある。 大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについては、各大学・高専において、具 体的に行われている教育の実態等に応じて対応を検討することが重要であり、学生や教 職員に向けて適切に指針等を示すなどの対応を行うことが望ましい。その際、生成 AI に 関しては今後も急速な進歩が続き、教学面への影響が変化することも想定されるため、 継続的な状況把握に努め、技術の進展や指針等の運用状況などに応じ、対応を適宜見直 していくことが重要である。 文部科学省では、大学・高専の今後の対応の参考となるよう、有識者や数理・データ サイエンス・AI 教育強化拠点コンソーシアム拠点校の協力を得て、既に各大学において 策定されている指針等の内容等を踏まえつつ、現時点において生成 AI(特に ChatGPT 等 の文章生成 AI を念頭に置く。以下同じ。 )に関して利活用が想定される場面例や留意す べき観点等について、以下のとおり取りまとめた。この内容は、各大学・高専において 共通すると考えられる点について、現時点での生成 AI の状況も踏まえてまとめたもので あり、各大学・高専においては、本内容を参考にしつつ、行われている教育の実態や生 別紙 2 成 AI に関する最新動向等を踏まえ、主体的・継続的に指針等の見直し、FD・SD 等の組 織的な研修を含めた対応を検討することが期待される。 生成AI の取扱いの観点 (利活用可否の検討、利活用が想定される場面例) 大学・高専においては、個々の教育の目的・内容や下記の留意すべき観点等を踏ま え、生成 AI の利活用可否や利活用不可の場面でこれに反した行為を行った際の措置等 を含む対応を検討し、学生や教職員に対して適切に示すことが望ましい。 生成 AI を利活用することが有効と想定される場面としては、例えば、ブレインスト ーミング、論点の洗い出し、情報収集、文章校正、翻訳やプログラミングの補助等の学 生による主体的な学びの補助・支援などが考えられる。 この他にも、生成 AI は、今後さらに発展し社会で当たり前に使われるようになるこ とが想定されるという視座に立ち、生成 AI の原理への理解、生成 AI へのプロンプト (質問・作業指示)に関する工夫やそれによる出力の検証、生成 AI の技術的限界の体 験等により、生成 AI を使いこなすという観点を教育活動に取り入れることも考えられ る。 また、上記の学生による利活用以外にも、教員による教材開発や、効果的・効率的な 大学事務の運営等に利活用することも考えられる。 なお、こうした生成 AI の利活用の取組事例やその際に生じた懸念事項といった新た な知見について教職員間で共有し、適切な利活用を追求することも有効と考えられる。 (留意すべき観点) 大学・高専における教育に生成 AI の利活用を検討する際には、以下の点に留意するこ とが重要である。 ○生成 AI と学修活動との関係性、成績評価: 大学・高専における学修は学生が主体的に学ぶことが本質であり、生成 AI の出力を そのまま用いるなど学生自らの手によらずにレポート等の成果物を作成することは、 学生自身の学びを深めることに繋がらないため、一般に不適切と考えられること。ま た、生成 AI の出力に著作物の内容がそのまま含まれていた場合、これに気付かずに当 該出力をレポート等に用いると、意図せずとも剽窃に当たる可能性があること。 学生がレポート等に生成 AI を利活用した場合には、適切に学修成果を評価するた め、利活用した旨や利活用した生成 AI の種類・箇所等を明記させることや、小テスト や口述試験等を併用するなど評価方法の工夫を行うことも有効と考えられること。ま た、AI が生成した文章かを判定するツールを学修成果の評価等に活用する場合でも、 その結果を過信しないことが重要であること。なお、利活用や学修成果の評価等に当 たっては、生成 AI の種類(有料版か無料版か)により、成果物に差が生まれ得ること にも留意することが重要と考えられること。 3 ○生成 AI の技術的限界(生成物の内容に虚偽が含まれている可能性) : 大規模言語モデルを活用した生成 AI は、基本的に、ある語句の次に用いられる可能 性が確率的に最も高い語句を出力することで、文章を作成していくものであり、AI に より生成された内容に虚偽が含まれている又はバイアスがかかっている可能性がある こと。こうした生成 AI に関する技術的限界を把握した上で、インターネット検索等と 同様に、出力された内容の確認・裏付けを行うことが必要と考えられること。 ○機密情報や個人情報の流出・漏洩等の可能性: 生成 AI への入力を通じ、機密情報や個人情報等が意図せず流出・漏洩する可能性等 があるため、一般的なセキュリティ上の留意点として、機密情報や個人情報等を安易 に生成 AI に入力することは避けることが必要と考えられること。なお、特に教職員が 生成 AI を利活用する際には、各大学・高専における情報セキュリティに関する指針 1 や、個人情報保護法 2を踏まえた対応が必要となることに留意すること。また、生成 AI の種類によっては、入力の内容を生成 AI の学習に使用させない(オプトアウト) ことができること。 ○著作権に関する留意点: 他人の著作物 3の利用について、著作権法に定める権利(複製権や公衆送信権等)の 対象となる利用(複製やアップロード)を行う場合には、原則として著作権者の許諾 が必要となること。AI を利用して生成した文章等の利用により、既存の著作物に係る 権利を侵害 4することのないように留意する必要があること。 学校その他の教育機関での授業においては、著作権法第 35 条により許諾なく著作物 を複製や公衆送信することができるため、学生や教職員が AI を利用して生成したもの が、既存の著作物と同一又は類似のものだったとしても、授業の範囲内で利用するこ とは可能となる。ただし、広くホームページに掲載することなどは、著作権者の許諾 が必要となることに留意すること。 上記の観点のほか、生成 AI を含む AI の利活用に当たっては、各大学・高専の学生等 が、その最新の動向、AI の普及による可能性とリスク、倫理面やデータリテラシー等を 含むデジタル化社会に対応するための基礎的な知識・能力等について理解・習得するこ とが重要である。また、そうした AI に関する授業科目等については、AI に関する技術 の進展や社会での活用状況等を踏まえて、適宜改善を図ることも重要である。 1 例えば「ChatGPT 等の生成 AI の業務利用に関する申し合わせ」 (令和5年5月8日デジタル社会推進会議 幹事会申合せ)においては、 「約款型外部サービスでは、 (中略)必要十分なセキュリティ要件を満たすこと が一般的に困難であることから、原則として要機密情報を取り扱うことはできない」等とされている。 2 「生成 AI サービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日個人情報保護委員会)参照。 3 著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する ものをいう。単なるデータ(事実)やアイディア(作風・画風等)は含まれない。 4 侵害に当たるかの要件は、一般的に、類似性(創作的表現が同一又は類似であること)及び依拠性(既存 の著作物をもとに創作したこと)が必要となる。類似していない場合や既存の著作物を知らず偶然に一致し たに過ぎない場合は著作権侵害とはならない。 4 文部科学省では、数理・データサイエンス・AI 教育の全国展開を推進しており、前述 の要素を含む優れた教育プログラムを政府が認定する「数理・データサイエンス・AI 教 育プログラム認定制度」を実施しているほか、大学・高専により形成し全国9ブロック で活動する「数理・データサイエンス・AI 教育強化拠点コンソーシアム」において、生 成 AI を含むデータ・AI 利活用の最新動向や、そうした動向を踏まえた留意事項等の内 容を含むモデルカリキュラムや教材の開発・改善・普及展開等の取組を継続的に行うこ ととしており、各大学・高専においては、当該取組の活用・参画についても積極的に検 討されたい。 (参考) ・数理・データサイエンス・AI 教育プログラム認定制度 https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/suuri_datascience_ai/00001.htm ・数理・データサイエンス・AI 教育強化拠点コンソーシアム http://www.mi.u-tokyo.ac.jp/consortium/index.html