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人工知能基本計画
The document's central framing is Japan's competitive position in AI development globally. The subtitle '日本再起' (Japan's revival/resurgence) and repeated language about falling behind major nations, the need for 'counter-offensive' (反転攻勢), reducing digital deficit, and becoming 'the world's most AI-friendly country' all foreground economic competitiveness. Innovation enablement is a strong secondary frame. National security and consumer/public safety risks are acknowledged but positioned as conditions to be managed in service of the primary competitiveness goal.
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人工知能基本計画 ~「信頼できるAI」による「日本再起」~ 令和7年 12 月 23 日 閣議決定 1 ⽬次 第1章 基本構想 ~「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指して~ .................. 2 第2章 AI関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策についての基本的な方針 ............ 4 第3章 AI関連技術の研究開発及び活用の推進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 .. 6 第1節 AI利活用の加速的推進 ........................................................ 6 第2節 AI開発力の戦略的強化 ........................................................ 8 第3節 AIガバナンスの主導 ......................................................... 10 第4節 AI社会に向けた継続的変革 ................................................... 12 第4章 AI関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を政府が総合的かつ計画的に推進するた めに必要な事項 ................................................................... 15 第1節 基本計画の推進体制及びフォローアップ ......................................... 15 第2節 基本計画の変更 ............................................................... 15 第3節 他の計画等との連携 ........................................................... 15 2 第1章 基本構想 ~「世界で最 もAIを開発・活用しやすい国」を目指して~ (AIで変わる世界と我が国の現状) 人工知能 (Artificial Intelligence。以下「AI」という。)は、生成AIを筆頭に急 速な技術進歩が起きている。2025 年に入り、自律的に業務を実行できる「AIエージェン ト」、現実世界でロボット等を動かす「フィジカルAI」といったAIに関する新たな技 術が進展している。AIは、様々な分野において効率性や利便性を大きく向上させるほか、 新しい科学的発見や人間の創造性を強める役割も期待されるなど、 世界の持続可能な発展 に必要不可欠なテクノロジーとなっている。 世界各国で、買い物や旅行のアドバイスから文書の下書きまで、日々身近な形でAIの 利活用が進んでいる。産業競争力や安全保障に直結し、国力を左右するものとして、官民 を挙げて取組が強化され、総力戦の体を成してきている。我が国としても出遅れることは できない。 一方、我が国では、AIが日常の生活や仕事の上で積極的に利活用されるものとなって いない。AI関連の開発・投資についても、主要国はもちろん経済規模が小さい国にも後 塵を拝するようになり、出遅れが年々顕著になっている。本来、地域での人手不足を始め、 社会課題が山積する我が国こそ、世界に先立ちAIと向き合い、能動的に利活用を進めて いかなければならない。基礎研究から社会実装までが近接するAIで、実装が進んでいな いことが我が国のAI開発上の大きな障害となっている。 今こそ、AIの利活用及び研究開発を積極的に推し進め、経済・社会構造の変革や付加 価値を創出していく「AIイノベーション」の推進を始めとして、我が国としてAIに関 する国家戦略を構築していくことが不可欠である。 ( 「AIイノベーション」で我が国が目指すもの) AIは、効率化や生産性向上による適時的確な業務の実施に留まらず、新たな発展につ ながる新事業・新市場創造、社会課題解決や包摂的成長も実現し得る。また、日本の経済 社会が抱える 「人口減少」や 「国内への投資不足」、 「賃金停滞」といった長年の課題を解 決する手段にもなり得る。 AIは、国民の生活の質の向上ももたらし、健康・医療、防災を含む安全・安心な国民 生活を実現する。さらには我が国においても、デュアルユース技術として安全保障に関わ る技術の高度化や平和の構築にも貢献することが期待される。 AIイノベーションを積極的に進めていくことは、 日本社会の持つ潜在的な可能性を存 分に発揮することにもつながる。 日本の人材や産業の高付加価値化といった国内政策を進 めるとともに、デジタル赤字抑止の観点からも世界展開を促す対外政策を進めるという、 内外一体で取り組む必要がある。 AIイノベーションにおいては、我が国が現実社会で積み上げてきた、世界に冠たる 「信 頼性」という価値を再現することに重点を置く。 我が国の様々な現場において、課題にAIを積極適用し、経験をデータとして集積、組 織を越えて共有することで、「信頼できるAI」 を創る。 開かれた形でのAIモデル開発、 3 フィジカルAIの探究、AI駆動の研究開発で世界をリードし、AIのフロンティアを開 拓する。「信頼できるAI」を軸として、日本が世界各国の多様なAIイノベーションを 糾合していく。 (今こそ「反転攻勢」の時) AIの競争環境が足元で大きく変化している。 AIの基盤モデルに対する投資規模以上 に、業界や業務に特化したアプリを始め、具体的な付加価値の創出が市場でも評価されて きている。投資規模では出遅れたが、極めて広範な産業基盤を有する日本が、「信頼でき るAI」で勝ち筋を見つける好機である。 今こそ、社会全体で 「信頼できるAI」を使うことを徹底し、 「利活用」から 「開発」へ のサイクルを回し、日本が強みとして持つ産業・医療・研究といった分野の質の高いデー タや世界に冠たる高品質な通信環境をいかしたAIイノベーションで、 日本が世界ととも に「反転攻勢」に出る。日本の課題解決を実現するAIが世界の課題解決にも貢献する。 (リスクへの対応) 他方で、AIには様々な観点でのリスクが存在しており、誤判断、ハルシネーション等、 不適切な情報の出力といった技術的リスクのみならず、差別や偏見の助長、犯罪への利用、 過度な依存、プライバシーや著作権等の財産権の侵害、環境負荷の増大、偽・誤情報の拡 散、さらに、雇用・経済不安といった社会的リスクやサイバー攻撃等の安全保障上のリス クにも拡大している。 こうしたAIによる生成などがもたらすリスクは国民に不安を与え ていることも事実である。 「AIを使ってみる」といった機運を高め、 「利活用」から「開発」へのサイクルの好循 環を実現するためにも、AIの技術進歩とともに変動するリスクを適時適切に把握し、A Iの透明性・公平性・安全性を始めとする適正性を確保することで、安全・安心で 「信頼 できるAI」を体現し、国民が抱く不安を払拭していくことが不可欠である。 (「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」に向けて) 我が国は、これまでもイノベーション促進とリスク対応を両立しながら、AI戦略を追 求してきた。 「危機管理投資」・「成長投資」の中核として、AI戦略を今一段と進化させる ためにも、「イノベーション促進とリスク対応の両立」を一層徹底することにより、人と AIが絶えず協働できるよう、個人の尊厳が尊重される人間中心のAI社会を堅持しつ つ、 「信頼できるAI」を追求し、 「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を実現して いく。 この際、AIを基軸とした新たな経済発展と安全・安心な社会の構築に向け、官民が一 致団結することが必要である。 国家目標の実現に資する戦略として「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に 関する法律」(令和7年法律第 53 号。以下「AI法」という。)第 18 条第1項に規定す る「人工知能基本計画」を策定し、政府は、本計画に盛り込まれた内容を着実に推進し ていくこととする。 4 第2章 AI関連技術の研究開発及び活用の 推進に関する施策についての基本的な方針 本章では、 AI法第3条に規定されるAI関連技術の研究開発及び活用の推進に係る基 本理念を踏まえた、AI関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策についての 「3 原則」と「4つの基本的な方針」を定める。 (3原則) ・「イノベーション促進とリスク対応の両立」 人とAIが協働し、 「人間中心のAI社会原則」 (平成 31 年3月 29 日統合イノベーショ ン戦略推進会議決定)に掲げられた理念を実現するために、イノベーション促進とリスク 対応の両立を徹底する。 ・「アジャイルな対応」 この両立に向けては、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを循環させ、変化 に即応しつつ物事に柔軟かつ迅速に向き合うといったアジャイルな対応を志向する。 ・「内外一体での政策推進」 積極的な国際連携で、我が国が多様なAIイノベーションの結節点となるためにも、国 内政策だけでなく、 対外政策を表裏一体かつ有機的に組み合わせる内外一体でAIに関わ る政策を推進していく。 (4つの基本的な方針) 1.AI利活用の加速的推進( 「AIを使う」) 日本社会全体で、世界最先端のAIに関する技術を、適切なリスク対応を行いながら積 極的に利活用することで、新たなイノベーションを創出する。 AIイノベーションを推進していく上での基盤となるデータの集積 ・利活用、特に組織 を越えたデータの共有を促進することで、AIの徹底した利活用につなげ、AIの性能向 上も実現する。 2.AI開発力の戦略的強化( 「AIを創る」) インフラからアプリまでのAIエコシステムに関する各主体での開発を進めつつ、 それ らを有機的に組み合わせることで、日本の強みとして「信頼できるAI」を開発する。 基礎研究から社会実装までが近接するAIをまずは社会全体で使い、 それに伴い生じた 課題を解決するAIを創ることで広範な技術革新につなげる好循環を実現する。 3.AIガバナンスの主導( 「AIの信頼性を高める」) 人とAIが協働する社会でAIの利活用と技術革新の好循環を実現する環境を構築す るために、AIの適正性を確保するガバナンスを構築する。 AIは国境を越えて展開するものであるため、日本国内だけでなく、国際的なガバナン スが不可欠であり、我が国はその構築を主導する。 5 4.AI社会に向けた継続的変革( 「AIと協働する」) 人とAIが協働する社会を実現するため、産業や雇用の在り方、制度や社会の仕組み等 を先導的かつ継続的に変革する。 AIを使い、AIを創るAI人材の育成・確保に加え、人とAIの役割分担を模索しな がら、AI社会を生き抜く「人間力」を向上できる環境を構築する。 6 第3章 AI関連技術の研究開発及び活用の 推進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ず べき施策 本章では、前章に掲げる3原則と4つの基本的な方針を踏まえた「AI関連技術の研究 開発及び活用の推進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策」を定める。 なお、◎は主な府省庁を示す。 第1節 AI利活用の加速的推進 我が国でAIが日常的に使われている社会を目指し、様々な局面でのAI利活用を推進す る。世代を問わずほとんどの国民が能動的かつ意識的に 「まず使ってみる」という意識を広 く醸成する。 これまで利活用が進んでこなかった要因である、AIがもたらす効果やリスクへの理解不 足等の解消に努める。 国民一人ひとりの生活や企業活動の質の向上、社会課題解決等のため、各主体がAIを能 動的に利活用するよう、社会全体で取り組む。 我が国でのAI利活用を促進するため、「隗より始めよ」の観点から、まずは政府自らが 積極的かつ先導的に利活用する。政府職員によるAIの普段使いを浸透、定着させることに より、業務の質を向上させる。取り扱う情報の属性や用途等に応じて、政府による適正な調 達・利活用を先導的に行うことで、日本社会で利活用されるAIの信頼性及び透明性の確保 につなげる。将来的には地方支分部局を含む中央省庁の全職員が業務の質の向上を実感でき る環境の構築を目指すこととし、速やかに本府省庁職員が生成AIを利活用できる環境を構 築する。その際、指定職・管理職による率先した利活用を促す仕組みを導入する。 地方自治体においては、人口減少、社会インフラの維持・更新費用の増加など、資源制約 が深刻化する中でも持続可能に行政サービスを提供しなければならない。これらの課題を克 服するために、地方自治体が積極的にAIを導入できる環境を整備する 1。 人手不足への対応や防災・インフラの安全性の確保及び生活の安心の確保、安全保障に関 わる技術の高度化等、社会課題 ・国家的課題の解決に直結する分野での利活用を積極的に支 援する。 新しい事業や新たな産業の創出につながるAI利活用を促進する。 地方創生、経済再生及び国民生活の質の向上に資するAI利活用を促すため、AI利活用 を前提とし、既存の規制や制度の見直しを含めた制度改革等を先導的に推進する。 AIの徹底した利活用や性能向上のため、データの集積・利活用、特に組織を越えたデー タの共有及び官民連携によるデータ利活用を促進する。その際、営業秘密の流出リスク対応 など、我が国のデータの安全性の確保を図ることを含めて、戦略的に推進する。 1 AIの実証・導入を推進する機会・事例(AI北海道会議等)や、スタートアップの創出・育成・ 展開を図るための中核支援施設(STATION Ai 等)の整備に係る地方の動きがみられる。 7 【具体的な取組】 (1) 政府・自治体でのAIの徹底した利活用 ① ガバメントAI2を推進するなど、政府の業務において生成AI等を適切に利活用し、 業務の質の向上及び効率化を推進する。【◎デジタル庁、全省庁】 ② 政府自らが率先して、AIを適正に調達し、安全・安心な形での利活用を推進する。 【◎内閣府、デジタル庁、全省庁】 ③ 地域におけるAI利活用を活性化させるためにも、優良なユースケースの横展開な ど、地方自治体におけるAIの適正な利活用を促進する。 【デジタル庁、◎総務省】 (2) 社会課題解決に向けたAI利活用の推進 ① 医療 ・ヘルスケア、介護、金融、教育、防災 ・消防、環境保全、農林水産業、食品 産業や造船・舶用工業を始めとした製造業、インフラ建設・管理、物流、公共交通 等の各分野においてAI(AIエージェントやフィジカルAIを含む。)の開発・実 証・導入・社会実装を促進する。【◎内閣府、関係省庁】 ② デジタル化・AI導入補助金を始めとする中小企業におけるAI導入促進の円滑化 を進めるなど、広く地域を支える産業へのAIの導入を促進する。【経済産業省】 ③ 防衛力の抜本的強化に向けたAI利活用を推進する。【防衛省】 ④ 国民の安全・安心の確保に向けた警察活 動の高度化のためのAI利活用を推進す る。【警察庁】 ⑤ 情報通信分野におけるセキュリティ確保に向けたAI利活用を推進する。 【総務省】 (3) AI利活用促進による新しい事業や産業の創出 ① フィジカルAIの事業や産業への先導導入を支援する。【経済産業省】 ② 産学双方の研究者等に対する科学研究におけるAI利活用を支援する。【文部科学 省】 ③ AIに係る革新的技術を有するスタートアップ等に対する支援を行う。 【内閣官房、 ◎内閣府、農林水産省、経済産業省】 (4) 更なるAI利活用に向けた仕組みづくり ① 様々な局面におけるAIの社会実装の実現に向け、国民の声を聴きながら、既存の 規制や制度の点検及び見直しを図る。【内閣府】 2 政府等におけるAI基盤。 8 ② 政府及び政府関係機関等が保有する各種 データについて機械判読可能な形に整え るとともに、AI利用を前提としたデータ環境の構築に努める。 【内閣官房、◎内閣 府、関係省庁】 ③ 医療、教育、農林水産業、建設等の準公共分野や、日本の強みとなる産業・研究分 野における質の高いデータを日本の勝ち筋としていかし、営業秘密の流出リスク対 応など、データの安全性の確保を図った上で、データ連携基盤を構築する。【◎内閣 府、デジタル庁、関係省庁】 ④ 統計作成等であると整理できるAI開発 等の円滑化に資する本人同意の在り方や 規律遵守の実効性確保等について検討し、 「個人情報の保護に関する法律」 (平成 15 年法律第 57 号)改正案の早期の国会提出を目指す。【個人情報保護委員会】 第2節 AI開発力の戦略的強化 我が国が独自にAIを研究開発し、自律的な運用もできる能力を強化するため、データや データセンター、基盤モデル、アプリを含むAIエコシステムについて、エコシステム全体 を俯瞰しつつ戦略的かつ統合的に日本国内で構築する。積極的な海外展開を通じて国際競争 力も強化することで、国力の強化及びデジタル赤字の解消に寄与する。国家主権と安全保障 の観点も踏まえ、日本の自律性・不可欠性を確保する。 AIを知的基盤・実行基盤と位置付け、エネルギー効率の高いAI基盤モデル等の研究開 発及び利活用を通じて、「新技術立国」の実現や社会全体でのGXに貢献する。 開かれた形でのAI開発を志向し、国内外からトップ人材を積極的に受け入れ、産業や医 療分野、研究など日本の強みとなる分野の質の高いデータをいかし、日本国内におけるAI 開発力を高める。 他国に頼りきるのではなく、我が国自ら基礎研究を始めとするAIの研究開発を行い、開 発と実装の好循環を実現することで、実践的なスキルの獲得を可能とし、即戦力となるAI 人材の育成環境を形成する。 AIモデルとアプリを組み合わせた多様なサービスの創出、自動運転、工場やインフラの 管理、人との協働を実現する自律型ロボットなど、現実世界における物理的タスクを実行可 能なフィジカルAIの開発導入、科学研究に広くAIを利活用する AI for Science 等の推 進を日本の勝ち筋として、一層注力する。 国家主権と安全保障の観点や日本の文化・習慣等も踏まえた信頼できるAIの実現に向け たデータの整備、基盤モデル及び評価基盤の開発を推進する。 AI研究開発の強化及び利活用基盤の増強・確保のため、十分な計算資源とその基盤とな る半導体の開発及び供給、データセンター及びクラウド環境の整備、それらを支える通信ネ ットワークの構築、安定的な電力供給体制の確保等、AIインフラの戦略的な整備を加速す る。 AIエコシステムが持続可能な形で発展できるよう、官民が連携して、「経済施策を一体 的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」 (令和4年法律第 43 号)の規定 9 や中小企業政策、投資促進につながる税制措置や研究開発税制等も活用し、民間投資を積極 的に呼び込みながら、研究開発、AIインフラ整備等に戦略的に投資する。AI投資が日本 経済をけん引する成長エンジンとなるよう、いち早く投資を加速していく。 【具体的な取組】 (1) 日本国内のAI開発力の強化 ① 新たなデータセット、AIの研究開発に必要なマルチモーダル 3なデータの創出・提 供等のデータ連携基盤の構築を推進する。 【◎内閣府、デジタル庁、総務省、文部科 学省、経済産業省】 ② 国内外からのトップ人材を含めたAI研究者・開発者を確保するため、待遇面や生 活環境の向上など、包括的な取組を行う。【◎内閣府、文部科学省、経済産業省】 ③ 先進的な知見を取り入れるため、大学・研究機関や国内外の民間事業者等における 産学官での連携・協働を推進する。【◎内閣府、文部科学省、経済産業省】 ④ AIモデルの高性能化やマルチモーダル化を促進する。 【◎内閣府、総務省 、文部科 学省、経済産業省】 ⑤ AIの性能や信頼性を客観的に評価する ための評価基盤やテストベッドを整備す る。【◎内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省】 ⑥ グローバルサウス諸国を含む海外市場へ のAIインフラを含めたAI産業展開を 支援する。【総務省、◎外務省、経済産業省】 (2) 日本の勝ち筋となるAIモデル等の開発推進 ① 日本が世界を主導できるようAIロボッ トの公的需要創出やより高度な自動運転 技術導入を含めたフィジカルAIの研究 開発及び実証を戦略的かつ統合的に促進 する。【◎内閣府、文部科学省、経済産業省】 ② ライフサイエンス ・マテリアル分野等における基盤モデルの開発・利活用、実験の 自動化も含めた研究データの創出・利活用の効率化、情報基盤の強化、AIの基礎 研究等、AI for Science の取組を推進する。【文部科学省】 ③ 新薬開発の効率化に資する創薬AIを推進する。【厚生労働省】 ④ 製造業、通信を含めたインフラ、コンテンツ産業、金融、宇宙、海洋、農林水産業 等、日本が強みを持つ分野において、海外展開も意識しつつ、AIと融合した新た なビジネスモデルを追求する。【◎内閣府、関係省庁】 3 画像、音声、言語など複数の情報のこと。 10 (3) 信頼できるAI基盤モデル等の開発 ① 日本の文化・習慣等を踏まえた信頼できるAIの開発・評価を推進する。既存の集 積データの利活用を含め、質の高い日本語データの整備・拡充を図る。 【◎内閣府、 デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省】 ② 日本が、信頼できるAIを開発する拠点となり、オープンソース4 ・オープンウェイ ト5のAIモデルを含む信頼性の高いAIエコシステムの構築を図るとともに、これ について他国と連携し、我が国がリーダーシップを持ち国際的ネットワークを構築 する。【◎内閣府、総務省、外務省、文部科学省、経済産業省】 ③ エネルギー効率を重視したAIエコシス テムの実現に向けた基盤モデル開発を推 進する。【経済産業省】 (4) AI研究開発・利用基盤の増強・確保 ① データセンターの整備、AIの研究開発に必要な計算資源の確保、効率的な電力・ 通信インフラの整備(ワット・ビット連携)、オール光ネットワークの導入及び次世 代情報通信基盤(Beyond 5G)の研究開発を推進する。【◎総務省、文部科学省、経 済産業省、環境省】 ② 高性能なAI半導体等の研究及び開発を推進する。 【総務省、文部科学省 、◎経済産 業省】 ③ スーパーコンピュータ 「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステムの開 発・整備を推進する。【文部科学省】 ④ 国内で開発・製造されるAIインフラの各層の生産能力拡大及び供給能力拡大を推 進し、サプライチェーンを強化する。【経済産業省】 第3節 AIガバナンスの主導 AIイノベーションの好循環を実現し、信頼できるAIエコシステムを構築するため、技 術開発・実証・評価・運用の各段階において、適正性の確保につながるPDCAサイクルを 構築する。 これを実現するため、国民や事業者等の自主的かつ能動的な取組を促すよう、国としての 基本的な考え方を提示する。当該考え方等を踏まえ、AIセーフティ・インスティテュート (AISI)を抜本的に強化することで、AIモデルの技術的評価を適切に行い、当該評価 も踏まえ、AIがもたらすリスクに係る実態把握を行うとともに必要な措置を講ずる。AI 4 ソフトウェアのソースコードが公開されており、誰でも閲覧・利用・改変・再配布できるライセン ス形態のこと。 5 AIモデルの「学習済重み(weights)」が公開されている状態を指す。 11 SIの機能強化にあっては、世界屈指の英国 AI Security Institute の規模6をベンチマー クとしつつ、人員を直ちに現行の2倍程度に拡充する。 AIの安全性確保やAIを利用した攻撃への対応が、新たなサイバーセキュリティ上の課 題として認識されつつあることを踏まえ、体制整備を含めた適切な措置を講ずる。 行政においてAIを利用する際、判断の根拠等が不明瞭にならないようにするなど、国民 へのアカウンタビリティを果たし、行政の信頼性を確保する。 AIガバナンスに関する国際的枠組み「広島AIプロセス」を主導してきた日本として、 引き続き国際的な議論を主導しながらAIガバナンスの構築において国際協調を図る。 その際、多様な開発主体・用途・設計思想等に基づくAIモデル間の相互運用性の確保を 重視し、日本が世界のAIイノベーションの結節点となる。 【具体的な取組】 (1) 信頼できるAIエコシステムの構築 ① 技術開発の進展とともに、ディープフェイクなどAIを悪用した問題が顕在化して いる。これらや国民生活への影響について、AI法第 16 条に基づく調査研究等を実 施し、リスクへの対応等を適切に行う。【◎内閣府、関係省庁】 ② 事業者等によるAIの研究及び開発・利活用における適正性の確保に向けた自主的 な取組を促すとともに行政における円滑かつ適正な利活用に向けた、AI法第13条 に基づく指針その他各種ガイドライン等を整備し、関係者への周知徹底を図る。 【◎ 内閣府、総務省、経済産業省、関係省庁】 ③ AI関連のサイバー事案の対処能力の向上など、AIを悪用したサイバー攻撃や詐 欺を始めとする各種の犯罪等への対応を図る。【◎警察庁、総務省】 ④ 各種分野におけるセキュリティ確保に向けたAI利活用を推進する。【◎内閣府、関 係省庁】 ⑤ AIモデルの安全性にとどまらず、より広範な適正性に係る評価やセキュリティ面 での対策を実行できる体制を構築し、技術的・制度的なガバナンスの強化を図る。 その中核として、AISIの機能を、政府を挙げて抜本的に強化する。 【◎内閣府、 経済産業省、関係省庁】 ⑥ 生成AIを悪用した偽・誤情報等への対応について、日本のAI評価機能向上にも 資する、AI生成コンテンツを判別する技術、AIの制御機能等7の開発を支援する。 【◎総務省、文部科学省、経済産業省】 6 2025 年9月時点で約 200 名以上の人員、初期予算は1億£(約 200 億円)。 7 例えば、AIを利用して生成されたコンテンツに対する電子透かしや事後的な真偽判別支援技術な ど。 12 (2) ASEAN等グローバルサウス諸国を含めた国際協調 ① 広島AIプロセスフレンズグループや外交機会を積極的に活用し、ASEAN等グ ローバルサウス諸国等との連携を強化する。【◎総務省、外務省、経済産業省】 ② AI関連の国際規格策定に向けて、ISO/IEC JTC18におけるAI分野の国 際標準化活動への参画等を行う。【経済産業省】 ③ 広島AIプロセスの推進や、AISIネットワーク等の国際的な枠組みの活用によ り、AIガバナンスの構築を主導する。 【◎内閣府 、総務省、外務省、経済産業省 、 関係省庁】 ④ 軍事領域におけるAIの利用について、人道的考慮と安全保障の観点の双方を勘案 したバランスの取れた議論を通じて、国際的な議論へ積極的な参画を行う。 【◎外務 省、防衛省】 ⑤ GPAI東京専門家支援センター等を活用し、プロジェクトベースでの支援を通じ て、AIガバナンスや社会実装に関する具体的な課題解決を後押しする。 【総務省】 ⑥ 多様なAIエコシステムが信頼できる形で、各地で自立的に発展することを目指し、 グローバルサウス諸国と共創・協力モデルを構築する。 【内閣府、デジタル庁、総務 省、◎外務省、文部科学省、経済産業省】 第4節 AI社会に向けた継続的変革 AIを基軸とし、新たな産業構造の構築を図るとともに、地域活性化を促進し、誰もが恩 恵を享受できる包摂的成長の実現にも貢献する。 AI技術が急速に進展する中、「人とAIの協働」による新たな社会を実現するため、制 度や社会の仕組みを先導的に見直し、継続的に変革する。 AIの進展が雇用に与える影響について、産業構造や職種の変化を含めて丁寧に分析し、 全ての世代が新しい働き方に適応できるよう、教育、リ ・スキリング支援等の対策を講ずる というプロセスを継続的に実施する。 AIの利活用や開発を担うAI人材の育成・確保はAI社会実現のために必要不可欠であ る。特に具体的な付加価値を創出するためにも、AIに関連する基礎的・学術的な知見・知 識を初等中等教育段階から向上させていくとともに、融合され得る産業等、様々な知見・知 識についても広く有した人材の育成が重要となる。このため、国は主導して質・量ともにA I人材の育成・確保に取り組む。 AI社会において人が人としての価値を発揮するため、創造力、思考力、判断力、適応力、 コミュニケーション力などを含む「人間力」向上を図る。 8 ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同の技術委員会。 13 AIの進展による格差や排除を防ぎ、AI社会から取り残される者を生まない。 【具体的な取組】 (1) AIを基軸とした産業構造の構築 ① AIを基軸とした組織経営改革(AIトランスフォーメーション9)を促すため、企 業等におけるDX・AI利活用の取組状況の可視化や改革の取組が進む事業者に対 する重点的な支援を図る。【内閣府、◎経済産業省】 ② 具体像の提示を含め、地域におけるAIインフラを活用した新たな産業の創出や、 雇用機会の拡大を図る。【◎内閣府、総務省、経済産業省】 ③ 規制のサンドボックス制度やスタートアップ支援制度などを含め、AI関連産業の 国内立地を促進する。【内閣官房、◎内閣府、経済産業省】 ④ AIエージェントが相互に取引を行うことも含めた「AI経済圏」の展開を調査・ 分析し、在るべき姿を探究する。【◎内閣府、関係省庁】 (2) AI社会における制度・枠組みの検討・実証 ① 様々な局面におけるAIの社会実装の実現に向け、国民の声を聴きながら、既存の 規制や制度の点検及び見直しを図る。【再掲】【内閣府】 ② AI利活用における事故や損害が発生した場合の民事責任の所在や範囲について、 在り方を検討する。【内閣府、消費者庁、総務省、法務省、◎経済産業省】 ③ 適切な知的財産の保護と利活用につながる透明性の確保を図るとともに、コンテン ツホルダーへの対価還元等の推進や、生成AIによる知的財産権侵害対策に関する 相談体制の整備、生成AIと知的財産権に関する分かりやすい情報提供等の取組を 進める。【◎内閣府、関係省庁】 ④ AI利活用により生成された製品 ・サービスを巡る知的財産権について、その在り 方を検討する。【◎内閣府、経済産業省、関係省庁】 ⑤ AIの進展に伴う雇用への影響について、代替性と補完性の両面から調査 ・分析を 行い、その結果を踏まえた包括的な対策を継続的に実施する。 【◎内閣府、厚生労働 省、関係省庁】 (3) AI人材の育成・確保 ① AI時代の産業構造を踏まえた人材ニーズの調査・分析を行う。 【◎内閣府、厚生労 働省、経済産業省】 9 AIを活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するととも に、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立するこ と。 14 ② AIや次世代半導体等の利活用・研究開発に係るエンジニアや研究者、データマネ ジメント人材等の育成 ・確保を、諸外国とも連携しつつ、推進する。 【◎内閣府 、外 務省、文部科学省、経済産業省】 ③ AI利活用・研究開発に係る産学官ネットワークやコミュニティを支援するととも に、課題解決力等を競うコンテストの開催等を通じて、現場主導のAI実装を促進 する。【◎内閣府、経済産業省、文部科学省】 ④ AIに関するスキルについて、個々の従業員や労働者に対するAIリ ・スキリング の取組を支援する。【◎内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省】 ⑤ AIの進展に対応し、社会の基盤を支えるアドバンスト・エッセンシャルワーカー 10の創出を目指して、職種や業務内容に応じたリ ・スキリング支援を実施する。 【◎ 内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省】 ⑥ デジタルスキル標準の改訂を行う。【内閣府、◎経済産業省】 ⑦ 学校教育における適切な利活用の推進に向けた実証研究等を通じ、初等中等教育段 階での情報活用能力の向上を図るなど、全ての国民がAIリテラシーを向上できる よう支援する。【◎内閣府、総務省、文部科学省】 (4) AI時代における人間力の向上 ① 人とAIが協働する社会の実現に向けて、人がAIとどう付き合うか、人とAIの 役割分担の在り方を継続的に探究する。AIに依存 ・代替されるのではなく、AI と向き合い、人が人としての価値を発揮する 「人間力」を育む環境整備を推進する。 【◎内閣府、関係省庁】 ② 人間ならではの力を伸ばしつつ、AIと共に課題を解決できる人材を育成するため、 リベラルアーツ教育を含むAI時代にふさわしい教育を推進する。 【内閣府、◎文部 科学省】 ③ AIの進展に伴い、働き方の在り方そのものが大きく変化する中で、AI時代にふ さわしい働き方の方向性を検討する。【内閣府、◎厚生労働省】 10 AIに限らずデジタル技術等も活用し現在より高い賃金を得るエッセンシャルワーカー。 15 第4章 AI関連技術の研究開発及び活用の 推進に関する施策を政府が総合的かつ計画的 に推進するために必要な事項 第1節 基本計画の推進体制及びフォローアップ 基本計画を実効性のあるものとし、盛り込まれた施策の実現を図るためには、その推進基 盤の整備に加え、取組の進捗状況を適時適切に情報共有し、必要に応じて調整や連携の強化・ 促進を図ることが重要である。 このため、政府においては、内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚を構成員とする人工知能 戦略本部、関係府省庁を構成員とする人工知能戦略推進会議を中心に、関係府省庁が緊密に 連携して取り組む。 人工知能戦略本部において基本計画の推進状況を把握の上、フォローアップを行う。計画 で目指す我が国の具体像を実現するために、適切なベンチマークを設定した上で、モニタリ ングを実施する。 基本計画の推進及びフォローアップに当たっては、人工知能戦略専門調査会において個別 の検討の場も設けながら、有識者等の意見を適時適切に聴取する。 第2節 基本計画の変更 技術の発達と活用の拡大が極めて急速であるというAIに関する技術の特性、動向、社会 情勢等を踏まえ、必要に応じて本計画を見直し、変更を行うこととし、当面は毎年変更を行 うこととする。 その際には、人工知能戦略専門調査会において有識者等の意見を適切に聴取し、あわせて 最新の技術動向などを積極的に基本計画に反映していくため、産学官で積極的な連携も図る。 第3節 他の計画等との連携 本基本計画に基づく施策の推進に当たっては、 「科学技術・イノベーション基本法」 (平成 7年法律第 130 号)第 12 条第1項の規定に基づき策定される「科学技術・イノベーション 創出の振興に関する基本的な計画」、 「デジタル社会形成基本法」 (令和3年法律第 35 号)第 39 条第1項の規定に基づき作成される「デジタル社会の形成に関する重点計画」等、関係す る他の計画等との連携・整合を図る。